エージェンシー理論とは経済主体(プリンシパル)とその経済主体のために活動するとされる代理人(エージェント)の間に起こる契約関係の問題のことを指したものです。
これは企業で当てはめると経済主体(プリンシパル)が株主で、代理人(エージェント)が経営者にあたります。
基本的に経営者(エージェント)は株主(プリンシパル)の利益を最大化するように、行動するよう期待されていますが、両者の利害はかならずしも一致しません。
そして、情報の非対称性などによって、経営者(エージェント)が株主(プリンシパル)の利益ではなく、自分の利益を優先させて行動してしまうということが起こります。これをモラルハザードといいます。
例としては会社の利益のためならA社の商品を使うべきなのに、経営者(情報優位者)が株主(情報劣者)からは分からないのをいいことに、B社からワイロを受け取ってB社の商品を採用しているといったような状態です。
そうなると投資家(プリンシパル)は経営者(エージェント)を信頼できなくなり、株式投資をやめてしまいます。そうすると株式市場は縮小し衰退することになります。これを逆選択といいます。
なので、エージェンシー問題の解決は市場の健全な発展のためには必要不可欠です。
所有と経営の分離によってこれまでの一族経営よりも、専門かつ複雑な経営を行うことができるようになり、企業規模の拡大を加速させたがそれと同時に情報の非対称性も加速させてしまいました。
これを抑制する為の手段としてはモニタリング(外部の人間を監査役として招聘し適切な情報開示をおこなっているか監視させる)や経営者の報酬を業績に比例させるストックオプション(新株予約権)の設定があります。
また逆選択に対しては選別(情報優位者が嘘をついても得しない環境作り)とシグナリング(情報優位者が劣者に対して情報を開示する)という予防策があります。
これらの予防策を講じるために、発生する費用(コスト)を俗にエージェンシーコストといいます。
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