相場予測の現状
相場の分析・予測は、過去において現在まで数多くの人間が研究を重ねてきたものでありますが、誰も正確には未来予想できていないというのが現状です。
そして、その現状は当然だと言わんばかりの理論が、今日取り上げる「ランダムウォーク理論」です。
ランダムウォーク理論とは?
ランダムウォーク理論とはどういう理論なのかというと、相場の上げ下げは不規則であり、特に決まった法則性は特にないという理論です。
当ブログでも解説しているRSIやMACD・移動平均線といった相場の動きを予測するものとして、数多く存在するテクニカル指標を真っ向から否定する理論です。
相場の動きがランダムであるはずがないと皆さん思うかもしれませんが、投資のバイブルである「ウォール街のランダムウォーク」の著者である、バートン=マルキール氏などウォール街にも多くの信者が存在しています。
金融市場には地震などの自然災害や政府要人の爆弾発言など、常に予測不可能な事態が起こりうる可能性が存在しています。
この理論はそういったものは予測することなどできないのだから財務諸表を読んだりして将来の株価の値動きを予測することなどやめて、過去の値動きから株価の変動を確率的なものとして見ようとする立場であるといえます。
ランダムウォーク理論は本当に正しいのか?
ランダムウォーク理論で有名なのは前述したウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理の中で詳しく書かれていますが、猿のダーツ投げの例です。
これは猿が適当にダーツを投げて選んだ株を買っても、プロのアナリストが、必死にファンダメンタル分析して個別銘柄を購入しても運用結果は変わらないというものです。
この理論でいけば株価の変動は、サイコロの目がどの目も1/6で出るのと同じように、値上がりが50%、値下がりが50%で起きるということになります。
個人的にはこの理論は半分正解で半分間違っていると思います。なぜかというと株価の値動きはサイコロの目は1万回くらい試行すればどの目が出る確率も1/6に収束するように、全企業の株価も1万日くらいの値動きを見れば、値上がりと値下がりが50%ずつになるというのは大数の法則に沿って考えればおかしなことではないからです。
ですが、この考えからファンダメンタルやテクニカルによる相場予測は意味がないという結論に至るのは飛躍しすぎであると私は思っています。
なぜかというと市場はある程度の予測はできるからです。たとえばリーマンショックのときに日経平均が8000円くらいまで下落し、そこから安部首相がアベノミクスを打ち出したときなど、さらに3000円くらいまで落ちるか、12000円くらいまで戻るかを考えたとき、後者になる確立の方が高いのはぼぼ間違いないでしょう。
このように市場は常に予測できないにしても局所では予測することが可能ですし、予測は全く意味がないと結論付けるのはおかしいです。
まあランダムウォーク理論が出たころは、金融市場が今より遥かに不透明で情報が少なかったので、下手な予測をして個別銘柄買って負けるくらいならアメリカ全体は上向きだし思考停止してダウ工業指数のようなインデックス買っとけば儲かるぜ!ってなるのはわからないでもないです。
ですが、情報技術の発達し情報化社会となった現在では、経験と知識のもとで膨大な情報(ビックデータ)をプログラミング言語を使用して統計分析し、それに基づいて意思決定を行えば、インデックス指数よりも高いリターンをたたき出すことは、昔に比べれば比較的容易だと私は考えています。
まあこのランダムウォーク理論考え方は、儲けるというよりもいかに損をしないかという考えで、何億・何十億円もの運用している機関投資家向けのディフェンシブなものです。
ですが、余力が少ないスライム投資家にとっても、株式投資における統計学の考え方(ランダムウォーク理論)はリスクヘッジ(リスクを減らす)において一定の有用性はあるので、個人であっても数十年単位で長期に渡って資産運用を行う上で、考え方自体は退場しないために必要なので、知っておいて損はないと思います。
また、ウォール街のランダム・ウォーカーは、過去に起こったオランダのチューリップバブルや日本の土地バブルなど、これまでの歴史の中で起こったバブルの例も取り上げており、個人投資家にとって「バフェットからの手紙」や「敗者のゲーム」などと並ぶ、株式投資で勝ち続ける(退場しない)ためには絶対に読んでおくべき名著の1つです。
ざっくりまとめ
Q.ランダムウォーク理論ってなに?
A.相場の値動きは不規則だから予測するだけ無駄という理論
コメント