「有効需要の原理」とは、ケインズが考案したもので「市場における総供給(=生産額)と総需要(=支出額)は一致する」という考え方です。
そして国民所得がどうやって決定されるかを、海外貿易を考えない簡単な式で説明すると、まず※三面等価の原則から、生産面からみたGDP は 総供給(国民所得) と、支出面 つまり 総需要 (投資+消費+政府支出)は等しくなると言えます。
※国民所得(GDP)を、生産面、支出面、分配面の3方向から見るとき、導入の式は異なっても、最終的な値は同じになる。ちなみに導入式は生産面から見たGDP = Y、支出面から見たGDP =C+I+G、とされることが多いです。
これをY:GDP、C:民間消費、 I:民間投資、G:政府支出として、式で表すと下のように表すことができます。
総需要(Y)=消費(C)+投資(I)+政府支出(G)
→ Y=C+I+G
次に、民間消費は所得に依存するとされているので、もし民間消費が、所得の 8 割だと仮定すると、 C=0.8Y となります。また、I=30、G=10 とおくと 、代入して C+I+G=0.8Y+30+10 となります。
そして、ケインズの有効需要の原理では、需要と供給が一致するので、上のように Y=C+I+G と表されます。総需要 C+I+G=0.8Y+30+10 を代入すると、Y=0.8Y+30+10 となります。これを解くと Y=200 となります。
もしここで、政府支出 G をさらに 20 増やして30にすると、 Y=0.8Y+30+30 となり、Y=300となります。これが何を意味するのかというと、政府がさらに20出せば、国民所得(Y)は、その5倍の300-200=100増えるということです。
このような政府支出(G)の変化が、国民所得(Y)にどれくらい影響を数字で表したものを※政府支出乗数と言います。
※政府支出乗数は 増加したGDP÷政府支出 で表され、この場合100÷20=5倍となります。
上記では、※限界消費性向が 0.8 と仮定して、C=0.8Y としました。 しかし実際には、C=10+0.8Y など、消費関数には定数項があるのが一般的です。
この定数項は、たとえ、所得がない場合でも生命維持のために消費される金額で、この値を基礎消費といいます。
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