マンデル=フレミングモデルとは、IS-LM 分析 の考え方を海外部門へと導入した 開放マクロ経済学のモデルのことを指します。国際マクロ経済学の範囲で為替レートや外為取引をやっている人にとっては、必要となる基本的な考え方となります。
まずこの考え方の結論としては、「開放経済(資本の自由移動の場合)で変動相場制の場合、財政政策は意味がない」ということを表しています。
※財政政策とは政府が主導で行う、通貨供給量の調整のことで、具体例としては公共事業や減税があります。
参照:http://rmc-oden.com/blog/archives/9730
まず、財政政策を行うと。開放経済(資本の移動が自由)においては、GDP・金利が上昇し、IS曲線はE₀からE₁へと上昇します。
そして金利が上昇し、円高になると、輸出が減少して、輸入が増加します。ですが ここで、市場における総需要Yの公式
:Y=C+I+G+EX-IM (Y:総需要、C:消費、I:投資、G:政府支出、EX:輸出、IM:輸入)
によると、 円高になることで EX-IM の部分が減少してしまいます。 したがって、IS曲線はもとの位置(E₀)に戻ってしまいます。
よって最初に述べたように、開放経済で変動相場制における、財政政策は意味がありません。
次に金融政策を行った場合を見ていきます。
※金融政策とは日銀が主導で行う通貨供給量の調整で、具体例としては、金利が下がると、金融機関は低い金利で資金を調達することができるようになります。すると、企業や個人への貸出においても、金利を引き下げることができるようになります。そして、金融機関の貸出金利が引き下がると、連動して企業が社債発行などの市場から直接資金調達をする時の金利も低下します。
参照:http://rmc-oden.com/blog/archives/9730
資本移動が自由である開放経済においては、金融政策を行うとGDPが増え、金利が下がり、円が売られる形で、海外に資金が流出することで円安になります。
円安になると、輸出が増加し、輸入が減少するので、総需要の数式のY=C+I+G+EX-IMの EX-IM の部分が増加します。 そしてIS曲線が上図のとおりE₀から右にシフトします。
よって資本移動が自由で変動相場制における金融政策は効果があるということになります。
まあ詳しい理論はともかく、公務員試験などでマンデル=フレミングモデルという名前が出てきたときに、開放経済(資本移動が自由)の変動相場制おいては財政政策は効果なし、金融政策はさらに効果あり ということが思い出せれば問題ないです。
これは自国の為替レートの価値を低下させることによって、輸出増加・輸入減少をもたらし、経済を活性化させるものということを意味しています。
ですが、これは言い換えると、他国の経済を犠牲にすることで自国の経済を活性化できるするということに過ぎません。したがって、こういった近隣窮乏化政策は、他国から強い批判を浴び、なんらかの報復手段がとられる可能性もあります。
実際、アベノミクスによる円安誘導は近隣窮乏化政策に近く、一時期アメリカのオバマ政権は報復策を取ることを示唆されていました。結局なにもなかったのは、安倍政権が他の分野でアメリカに対して譲歩することで手を打ったと思われます。
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