今回はPSR(売上収益率)について取り上げたいと思います。
PSRは株式の本場のアメリカではかなり使われている指標ですが、日本ではまだまだマイナー指標です。これは有名なケン・フィッシャーが使用していた指標でこれについて本も書いています。
まあアメリカ市場と日本市場とは少し違うので、この指標が通用するかは分かりませんが、教養として知っておくのはアリだと思います。
計算式は
PSR(株価売上倍率)=株価÷1株あたり売上
PERが株価が一株あたり純利益の何倍かを表すのと同じような感じで、PSRは株価が売上に対して何倍かを見る指標になります。
PERは企業の利益を元に算出するため、非常に変動が大きくなりますが、企業の売上高をベースに考えるPSRでは、数値の変動が少なく、より正確に割安度を評価できることになります。
また赤字であれば、PERは算出不能になるので、指標として機能しなくなります。ですが企業の売上高ベースで考えるPSRなら、利益が赤字でも数値はマイナスにならず、指標として機能することになります。
しかし、このPSRにも問題点はあります。それはウォルマートやAmazon薄利多売型の企業の数字が低くなり、逆にユニクロのような利益率が高い企業ではPSRが高い=悪い企業となってしまいます。
売上を見ることで、とにかく事業を拡大する投資CFが高いAmazonのような企業などを洗い出す事ができます。世間で有名になれば、知名度でおのずと株価は上がることがあるわけですし、企業を売上でみていくという発想も一理あるという気もします。
アメリカでは1倍以下は割安と言われていますが、日本ではわりとPSR1倍以下の企業が存在します。とりあえず異なる業種で比べても全く意味がないので、ROEやPERのように同業界他社と比較して使用するのが無難です。
ROEのように成長性をみるので、短期投資向けではなく数年単位での長期投資向けの指標ですね。アメリカ市場では低PSR企業は高PSR企業よりもリターンが高いとの検証結果もでているようです。
80年代、90年代のアメリカはライブドアや村上ファンドのような機関による企業買収の嵐があった時代なので、低収益というあぐらをかいていた典型的日本企業のような経営者がクビにされ、有能な社長が収益性を高めるなどの努力をしたことにより、低PSRの株が結果として高収益体質となり、そのため投資リターンが高いという結果になったのではないか?というような気もします。まあこういう見方もあるんだなぁと覚えておいても損はないかと思われます。
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