今回は投資において、とても大切な概念である割引現在価値について取り上げていきたいと思います。
まず皆さんが給料や支払いに使っている通貨(円)の価値は、経済成長によっておこるインフレーションによって、時間が経つにつれてどんどん低下していきます。
分かりやすい例だと戦前の日本では、10円札や100円札が主流でしたが、現代では1000円や1万円が当たり前になっているのを考えてもらえれば、想像しやすいと思います。これは円の価値が下がっている(インフレしている)から起きている現象です。
よくインフレは第一次世界大戦後のマルクス紙幣などを引き合いに悪いものといたイメージを歴史授業で植えつけられるのですがそうではありません。基本的には経済の発展=インフレで、インフレは経済が成長している証なのです。だからこそ各国の政策銀行は金融政策として、市場に供給する通貨の量を増やすことで意図的にインフレーションを起こそうとするのです。
話が少し逸れてしまいましたが、何が言いたいのかというと現在の1万円は、1年後あるいは10年後といった将来の1万円と同じ価値ではないということです。これが割引現在価値の考え方の基本となります。
もう少し分かりやすく簡単な数字の例で見ていく、とあなたは今誰かから100万円を貰うことができるとします。このとき100万円を今すぐもらうのと、1年後にもらうのとではどちらが有利か?を考えてください。
答えは今すぐもらった方が有利です。なぜかというと今すぐ貰って利率が5%の銀行に持っていけば、その100万円は1年後には、100万円×1(+0.05)=105万 になるからです。今の100万円は銀行に寝かせておくだけで1年後には105万円になるのですから、1年後にもらうのではなく今すぐもらった方が間違いなく得ですよね。
今度は反対に、将来の105万円は今の価値ではいくらになるかを考えます。
利子率が5%の銀行にお金を預けるとして、そのお金を1年後105万円にするためには、現在いくら必要かを考えると、これはさっきの100万円×(1+0.05)=105万円を、逆算して次のように求められます。
105/(1+0.05)=100万円
よって1年後105万円を得るためには現在100万円必要だという事が分かります。
この100万円は、1年後の105万円の割引現在価値と言えます。割引現在価値とは、将来の金額を現在の金額に変換したものです。ちなみに上の場合の割引率は0.05になります。
上のケースで、同じ銀行にさらに1年間(合計2年間)預けていたとしたら、2年後には
1万円×1.05×1.05=110.25万円になります。
この110.25万円の割引現在価値は、
110.25万円÷(1.05)^2 = 100万円です。
このように割引現在価値は、「将来得られる金額(キャッシュ)」と「利率(割引率)」と「期間」の3つから求めることができます。
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