債務超過とは、債務者(企業)の負債の総額が資産の総額を超える状態のことを意味します。つまり、企業の持っている資産をすべて売却しても、負債を返済しきれない状態です。
会計上では、「負債の部」の合計が「資産の部」より大きくなって「純資産の部」がマイナスになっている状態と言えます。
一般に「債務超過」の企業は、財務体質として非常に危険な状態であることから企業の信頼性の低下に繋がります。お金を貸す側としても最悪貸した分を返せる資産があれば貸すことできますが、持っている資産よりも借金が多い企業にお金を貸したいと思いませんし、貸しているならば資金の引き上げを検討することもあります。
その結果、資金不足などから企業の事業継続に支障が出てくるので、債務超過に陥った企業は「倒産」に繋がる可能性が極めて高いと言えます。(たまに逆転満塁ホームランを打つ企業もいますが大抵潰れます。)
ちなみに、赤字を出せば即倒産というわけではなく倒産とは、「お金の支払いに滞ったてしまう」ことを指します。つまり、返済期限にある債務を返済できない、いわゆる「不渡り」を出してしまい、営業活動をそのまま続けることが不可能になることを指しますが、「債務超過」になったからといって、すぐに倒産する訳ではありません。
ですが、債務超過という信用力が低下した状態では、銀行などの取引先が早期の支払いを求めてくるケースが多く、また債務超過が拡大するにつれて、いつかは限界が来る(倒産に至る)ことが多いです。
要するに、「赤字=倒産」ではないのと同じように、「債務超過=倒産」ではないけれども」倒産の一歩手前の状態という感じです。実際、東証でも企業が債務超過に陥った場合、1年以内に債務超過を解消できないと上場廃止になるとされています。
つまり、逆にいうと一応債務超過になっても1年以内に解消すればセーフとなります。それでもやはり財務的にやばい企業として、投資家からは敬遠され株価は低下します。
債務超過を解消するには、事業を立て直して利益を上げ資産を増やすか、または増資するか負債を放棄してもらうか、あるいは負債と資本を交換するDES(Debt Equity Swap)を行うか、といった手法があります。これらは要するにB/Sの純資産の部を増やすということで、純資産の部の額が増えれば、債務超過を簡単に解消できます。
債務超過に陥った企業は倒産一歩手前の状態で、基本的に債務超過に陥った上場企業は増資によって債務超過を回避しようとします。その結果一株当あたりの株式の価値が低くなり(株価=企業価値÷発行済み株式数で決定されます)、株価は低下することが一般的です。
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