今日は金融工学(ファイナンス分野)におけるリスクとリターンの概念について触れたいと思います。
投資の目的とはもちろんリターン(利益)を上げる事にあります。この資本主義社会、金は正義で誰もが貰えるなら是非欲しいと思っているものです。
そして投資において、良い投資対象とは、年利5%や10%の収益性の高い金融商品(株式や債券)となります。
もちろん皆さんも資産運用するなら利回りのいいものに投資したいですよね?しかし、リターンの裏側には、常にリスクが存在しています。この2つはコインの表裏のような関係で絶対切り離すことはできません。
世の中上手い話はないと言いますが、まさにその通りで全くリスクを冒さないでリターンを得ることは絶対に不可能です。
特に島国で安定志向の強い日本人については『リスク』という言葉に敏感に反応します。リスクを冒すくらいなら銀行に預けておいた方がマシ。そういう人が大多数だと思います。
このときの『リスク』とは損失のことを意味します。自分のお金が無くなること、つまり損失を出してしまう『リスク』です。これが皆さんのリスクの感覚だと思います。
このようにリスクとは、危険性や損失を一般的に表します。なので「投資のリスク=損失」と認識されがちなのですが実はそうではありません。『ファイナンスにおけるリスク=値動きの激しさ』なのです。
つまりリスクの高い証券とは、『価格が大きく上昇する可能性もあるけど、大きく値下がりする可能性もある』という事を意味します。(この値動きのしやすさをファイナンスではボラティリティと言います。)
これがアナリストや金融業界の人にとっての『リスク』です。そして、ファイナンスにおけるリスクについて詳しい話をしていくと現代のファンナンス理論では、株価データを対数差収益率(収益率を自然対数で変換したもの)を正規分布の確率変数とみなしています。
つまり、対数差収益率データはある正規分布の確率分布から出てきた標本の一つであり、その平均が対数差収益率、分散(標準偏差)がボラティリティということになります。
一応、対数差収益率が主流なので対数差収益率としていますが、普通の収益率で計算しても、数値はほぼ一緒なのでどっちでもいいです。ただ普通の収益率で計算する場合は一つ注意する点が出てきます。
例えば1000→500→250→750と価格が変化した証券があるとします。これを普通の収益率で計算するとー0.5・-0.5・3となり、単純に足してしまうと平均収益率は0.666…になってします。ですが、トータルで見ると1000→750なので本当はー0.25なはずです。
どうしてこのようなことが起こるのかというと、収益率を単純に足してしまっているからで本当に平均収益率を求めるならば、³√(1ー0.5)(1-0.5)(1+3)の幾何平均で計算しなければなりません。
なお対数差収益率で計算するときは単純に足すだけで平均収益率が出せます。どうせ計算はコンピューターがやるので、収益率の計算は対数差収益率で計算するのがオススメです。
投資における真のリスク
とまあこれが金融工学(ファイナンス)におけるリスクの定義ですが、投資においての本当のリスクとは、ボラティリティー(値動きの激しさ)ではなく投資の神様であるウォーレン=バフェットがいうように、自分が何をしているのかわかっていないことだと思います。
リスクとは、自分が何をやっているか
よくわからないときに起こるものです。
ウォーレン•バフェット 総資産6兆円の言葉
— ウォーレンバフェット 名言 (@sekainodaihugou) 2017年11月30日
自分が現在どういう目的で投資をしているのか?目標額はどれくらいなのか?どれくらいのリスクを背負っているのかを把握することが投資において生き残るためには肝心だといえます。
狼狽して自分が何をしているのか分からなくなり、よくわからずに売買してしまいいたずらに資産を減らし退場、これが一番いけないパターンです。
こうならないためにも私はチャートの他にもファンダメンタルなどの本質についての分析を常に勉強すべきだと考えています。
→投資の神様ウォーレン=バフェットから学ぶ気楽に行なう仮想通貨投資
追記:株価データの分析やモデル推定についてより専門的に分析したい人は、こちらの株式の計量分析入門 という本がオススメです
株式の計量分析入門 ―バリュエーションとファクターモデル― (FinTech ライブラリー)
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