現代における独占
今の法治国家には「独占禁止法」があるとはいえ、現代においても独占は完全に消えたわけではありません。現代の市場においては、1社だけは市場を支配している「独占」より、2,3社程度の少数の大企業が市場を支配している状態である「寡占」が起きていることが多いです。
この「寡占」は、例で言うと携帯会社などの通信産業やビール産業、電力産業、PC産業などで見られ、主にインフラに関係するところで起こりやすいです。まとめると「寡占」とは「独占」ではないけれど、数社でその産業をほぼ独占している、そんな状態です。
寡占価格と非価格競争
現代の自由競争社会では、効率のいい大量生産設備を持つ大企業が有利です。(これを規模の経済性といいます。)
そのため現在でも企業の巨大化・集中が進み、多くの産業においてほぼ一社ないし、数社で市場を支配し、巨額の利潤を獲得している状況が存在しています。
「独占・寡占」状態の市場は、無数の売り手と買い手がいる自由競争市場と違って、最も力のある企業が先導的に価格を設定し(これをプライス・リーダーシップと言います)、他の企業もその価格に従うといった事が起こります。
そしてこうした市場では自由競争は排除され、価格が下がりにくいという「価格の下方硬直性」という現象が起こります。
こういった事情から1947年、独占禁止法が制定され、カルテル(企業間で価格や生産数量、販売地域などを協定すること)の禁止、「独占」の象徴であった財閥の解体などがなされました。
近年でも大手建設会社(ゼネコン)の談合が摘発されたり市場は極力を自由競争にするために公正取引委員会なども動いています。
こういった法整備の目的は、市場のメカニズムを効率的に働かせることを目的であり、嫉妬や私怨ではありません。
そして、寡占化している産業においては、単純な商品価格ではなく、宣伝・広告・品質・デザイン・無料配送・アフターサービスなどの価格以外の点で競争しようとする「非価格競争」が盛んになります。(簡単な例としては、ソフトバンクやAUのCM戦略なども非価格競争の一種といえます。)
情報機器などの分野は価格競争が激しいですが、基本的に寡占市場では、価格以外の部分で他の企業と競争するという「非価格競争」が行われやすいです。
追記:ミクロ経済学を勉強するにあたってこのミクロ経済学入門の入門いう本が分かりやすかったので紹介しておきます。
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