XRPの価格上昇材料
仮想通貨の中でも時価総額上位に位置するリップル社の発行する仮想通貨であるXRP。
私をはじめ恐らくこの記事に興味を持ち、訪れてくださった人はXRPの価格が今後どうなるかについてもっとも関心があると思います。
XRPの価格上昇の大きな材料の一つとしてよく挙げられるのが『XRPが国際送金で本格的に利用されるようになる』というものです。
そして、17年6月30日から銀行において日本とタイ間でILP(Inter ledger protocol)送金がすでに開始されていますが、まだXRPが銀行間の国際送金に使われたという例はありません。
追記:2017/11/20
アメリカーメキシコ間でXRPによる国際送金が始まりました。
ILPとは何なのか?
ILP(インターレジャープロトコル)とはリップル社が開発した独自の送金プロトコルで、これにより従来のSwiftによる国際送金よりもはるかに低コストで国際送金が可能となります。(ILPの簡単な仕組みは↓の記事で解説しています)
→【仮想通貨】リップル(XRP)の価格が絶対上がる3つの理由
→Ripple社のビジョンとILP(インターレジャープロトコル)の関係について
そして17年8月に日本ータイ間でILPによる国際送金がすでに始まったのを皮切りにこのILP(インターレジャープロトコル)はすでに世界の銀行に採用され始めています。
ですが、ここで押さえておきたいこととしてはILP≠XRPだということです。なのでこのままILPだけが銀行に使われてXRPは使われないと主張している人も一部には存在します。
こういった風説と6月に50円を付けてから右肩下がりで現在20円まで下落している価格チャートを見て、国際送金はILPだけが使われてXRPは使われないのでないか・・・?という不安が高まり、XRPを手放している人もちらほら見かけるようになってきました。
なので今回は国際送金のILPにおいてXRPが使われるのかどうかについてまとめてみました。
ILP送金でXRPは使われるのか?
ですが、ILP送金だけ使われてXRPが使われないという可能性はリップル社の関係者のインタビューやツイッターを見る限り、かなり低いと思われます。
ILPで世界中の台帳やシステムを繋いでいくと、XRPやBTCを使う技術的障壁がなくなる。そのとき、最も決済用として特性が適してるXRPが選ばれ、XRPが使われ始めると、ネットワーク効果でどんどんとXRPが便利になっていく。XRPが便利になれば、XRPのまま待つ企業が増えて徐々にXRPに価値が滞留し始める。
— 名もない猫@りっぴぃ 👼 (@cryptopayments2) 2017年11月22日
それどころかこれまで別物とされてきたILPとXRPは同じような存在になるかもしれない。つまり一つに統合される可能性が出てきています。
ILPとXRPが一つになる!?
その根拠はまずリップル社の人達がILPとXRPの関係に関する発言を盛んに始めたことです。
和訳:
「ILPとXRPが完全に統合されたときの可能性を想像してみてください。」
これはリップル社の Miguel Vias(XRP担当の重役)のツイートです。この発言だけ見ても、リップル社がILPとXRPを統合しようとしていることは理解できると思います。
Rippleコンセンサスが価値のインターネットを生活にもたらす
・xRapidの発表
リップル社は、8月1日に新たに3つのエンタープライズソリューションを発表しました。xCurrent, xRapid, xViaです。このうちxCurrentは既存のRipple ConnectとILPレジャーを利用した送金システムをパッケージ化したソリューション(つまりILP送金を実現する本体の部分)だと思われます。
xViaは、Rippleネットワークを利用して送金を行うための統一されたAPIのようです。そして注目すべきなのが xRapid です。リップル社は公式サイトで xRapid について、次のように説明しています。
xRapidは、流動性コストを最小化し、カスタマーエクスペリエンスを改善したい送金業者やその他の金融機関のためのソリューションです。
新興市場への送金においては世界中の現地通貨口座への事前の資金の用意が必要となることが多く、流動性コストは高くなります。xRapidにより、流動性面での資本要件を大幅に引き下げることができます。
xRapidはデジタルアセットであるXRPを独自に活用し、オンデマンドの流動性を供給します。
それによって、新興市場においてコストを大幅に低減しながらもリアルタイム送金を可能とします。
法人向けに設計されたXRPにより、銀行や送金業者は国際送金のための、効率性が高くスケーラブルで信頼性の高い流動性オプションを手にすることができます。
要するに発展途上国の流動性が低いマイナー通貨のリアルタイム送金をXRP使って実現する製品です。
では、XRPはいつ送金に使われ始めるのでしょうか? これに関しては David Schwartz が次のようにツイートしています。

和訳:
「予想は難しいが、今日最も非効率な支払いルートのいくつかで、有意義なXRPブリッジングを今年(2017年)見ることになると思う。」
つまり David の予想では今年(2017年)にもXRPがブリッジ通貨として使われ始めるとのことです。
仮に彼の予想が外れたとしても近い将来であることは間違いないでしょう。ちなみにこれまでXRPではなくILPを推していた理由についてはツイッターで語っています。
RippleがInterledger Protocolに戦略転換したわけ【日本語訳】
XRPによるブリッジ通貨実現にはなぜ、ILPへの方針転換が必要だったか?その経緯が述べられています。マニアックだが地味に重要な内容かと思います。https://t.co/PvluB1dOzz pic.twitter.com/LaCJJNsrEN
— てにったー (@tenitoshi) 2017年7月16日
その結果、XRPはいくらになるのか?
ちまたでは、銀行でXRPをブリッジ通貨とした国際送金決済が始まった場合、常時世界のあちこちで行われる数千億単位の銀行間送金をすべてXRPで行えるようにするためには、XRPの時価総額は現在のSwiftの送金額である約2000兆円が必要だとされており、そうなった場合1XRP当たり価格は約2万円という計算になります。
ですが、リップル社の中の人によるとリップル社によるXRPの使用目的はそのさらに先を行っている可能性もあります。
JoelKatz:
(一日の貿易額が約500兆円なので、これがすべてXRPで行われた場合XRPの価格はとんでもない数字になるというツイートに対する返信)
この考え方は、100%誤っていると言えます。この考え方はまるで、郵便が持っていたシェアを電子メールが奪いとるかどうか思案しているようなものです。
たしかに、もしあなたが電子メールを売り込む立場だったら、郵便が担ってきたあらゆる用途は電子メールが取って代わる、と言うかもしれません。しかし、これには反論する人が出てきて「電子メールでは小包は送れない」とか「受け取り側が物理的にそれを保管できない」とか言ってくるでしょう。ひょっとしたらその人は「物理的な輸送を必要としない郵便の割合は多くても85%だ。したがって電子メールがあまねく普及しても電子メールが手にする量は全ての郵送の量の85%だろう」と今でも言い続けているかもしれません。
しかし、これは明らかに馬鹿げたことです。電子メールを「郵便のようだ。だけど早くて安いもの。」と考えることは、「はるかに早くて安い」ことによって起きる根本的な変化の規模を見誤ることにつながります。
だから、そう。最初は「周りも電子メールを使っていて、かつ物理的な輸送を必要としない場合には、郵便より早くて安いもの」として電子メールを理解するでしょう。これは今日我々がXRPを同様に考え、将来の国際決済と比較するのと同じやり方です。しかし、XRPが本当はどこへ向かっていくのか? 正しく予測できる人は我々の中にはいないでしょう。
まだ郵便でしか文字のやり取りができなかった昔の頃と、今のようにSNSが普及しいつでもどこでも文字を発信できる現在とでは、発信される文字数は全く桁違いだということです。
これは支払いに当てはめれば、「インタネットで買い物するたびにSWIFTで国際送金する人なんていないでしょ?」ということです。
つまり、リップル社の目指すのは今の送金市場をSWIFTにそのまま取って代わることではなく、ILPとXRPによって現在の送金市場をより拡大しようとしているのです。
これがリップル社がビジョンとして掲げる「IoV(価値のインターネット)」なのです。インターネットも昔は使用料がバカみたいに高額でしたが、今は格安スマホや格安SIM、無料Wifiなどで皆がスマホやPCを介して当たり前のようにインターネットを利用しています。
これと同じことがこのリップル社の掲げるIoVによって起こる可能性が高いのです。つまり今まで銀行振込や国際送金は一回ごとに高額の手数料を取られていましたが、これがほぼ無償化されるのです。
そうなれば今まで以上に送金の頻度、そして送金額の合計も飛躍的に増加することが考えられます。
なので、現在の国際送金の時価総額とILP送金が始まった後の国際送金時価総額を比べることはできないのです。
そうなった場合XRPの時価総額がどこまで行くのかはいい意味で予想できないのです。(今のSWIFTの送金をそのままとって変わるだけでも1XRP=1万円ですが、それ以上になるかもしれないということです。)

いずれは動画やブログを見るために小額の支払いが発生するようになることも容易に想像できます。
そうなった場合、送金市場の時価総額はさらに大きくなるため、XRPの価格は1~2万円どころではなくさらに上に行く可能性もあるということになるのです。
このDavid氏の言う「正しく予測できる人は我々の中にはいない」の意味は、無限にある可能性の中でそれを現時点で予測することは不可能だということです。
追記:こちらのアフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者という本は仮想通貨について送金面で取り上げたもので現行のSwiftによる国際送金の不便さについてよく説明しているので、この本を読めばなぜリップルが注目されているのかが分かりやすくなるかと思います。
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