IS-LM曲線とは?
IS曲線とLM曲線の交点を分析することを、IS・LM分析といいます。
理論上2つの線分の交点では、財市場と貨幣市場とが均衡(モノやサービスの流通と、貨幣の流通がバランスよく均衡が取れている)状態で、具体的数値があれば、その時の利子率(r)と経済全体の所得水準(Y)が求められることになります。
そして、経済学においては経済は、均衡状態から一時的に離れても、時間の経過とともに均衡状態である IS 曲線上及び LM 曲線上に戻ります
経済学の計算問題においてのIS・LM分析というのは、IS曲線とLM曲線の交点に於ける利子率(r)と国民所得(Y)の数値を求める問題だという認識で問題ないと思います。
というわけでその基本的な流れを簡単な例題を使ってみていきます。
例題
限界消費性向が0.8で、基礎消費が10、民間消費(I)が10−4r、政府支出(G)が44、マネーサプライ(M)が500、物価水準(P)が1、貨幣需要(L)が100+5Y+40r とされている時の国民所得(Y)と利子率(r)を求めよ。
一見わけのわからない数字と単語が並んでいますが、ケインズの有効需要の原理などをしっかり理解できていれば、簡単に解けるはずです。
まずIS曲線から計算していきます。
IS 曲線は、基本的にY=C+I+Gとされているので、これに例題の数値を代入していきます。(これについては下の記事で説明しています)
すると
IS 曲線: Y=(10+0.8Y)+(10-4r)+44
これをr=〜の形に変形すると
r=−1/4Y+16・・・①
となります。
次はLM曲線は、L=M/Pとされているので、これも同じように例題の数値を代入すると
LM 曲線:100+5Y+40r=500
となり、これをr=〜 に変形すると
r = 1/8Y + 10・・・②
となります。
そして、①・②を連立して解くとY=16、r=12 となります。
大まかな解き方としては
①:Y=C+I+G に値を代入してr=〜の形に変形した式を作る。
↓
②:L=M/Pに値を代入してr=〜の形に変形した式を作る。
↓
③:①と②でできた式を連立させて解く
こんな流れです。
公務員試験や経済学部生の受ける試験なら、これをひねった応用問題が出てくるでしょうが、このIS・LM分析とは何なのかがちゃんと理解できていれば対応できるはずです。
急がば回れとはちょっと違いますが、式を丸覚えするのではなく、理屈から理解するのが、経済学の理解の一番の近道だと思います。(経験談)
まとめ
Q:IS・LM分析って何?
A:IS曲線とLM曲線の交点の国民所得(Y)と利子率(r)を、分析(計算)すること
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