これまでの国債の消化形態は大きく分類すると、「シ団発行引き受け」「公募入札」 の2つに分類されます。
まずシ団発行引き受けとは、国と引受シンジケート団(引き受けシ団)との間で、募集と引き受け契約をする国債の消化形態を指します。
ちなみにシ団とは、国債などの債権の引受業務を円滑に行うために、証券会社・銀行・農協などの1000社以上の引受業者が共同して組織する団体のことを表します。
基本的に国債や債権といった有価証券を新規発行し売り出す場合は、募集活動と売れ残った時に処分(買取り)するリスクが常に存在しており、これを1社だけで引き受けるのはリスクが大きいので、複数の業者の団体であるシ団で引き受けることによりそのリスク分散をはかります。
このようなシ団による引受は、主に公社債や社債の発行時に行われ、社債の場合には証券会社数社によって構成され、国債や地方債のような公共債の場合は金融機関にも引受が認められているので、証券会社の他にも銀行、信用金庫、保険会社 などがシ団を構成しています。
国債の安定消化に役立ってきたシ団引き受け制度ですが、債権の一律的な固定金利での引き受けなどが、赤字国債の無制限発行時代にそぐわなくなってきたため、公募入札による競争入札が主流となりました。
そのため国債については、シ団引受方式が2006年度以降廃止されており、現在では地方債、政府保証債、財投機関債が公共債のシ団引受の対象となっています。 シ団発行引き受けは、公募入札制度が導入されるまで日本の国債消化の8割近くを占めていました。
そして、シ団引き受けにとって代わった公募入札制度というのは、多数の入札参加者に希望する発行条件や取得希望額を入札させ、その入札状況に基づいて発行条件および発行額を決定する不特定多数の投資家を対象とする国債の消化形態で、1978年に導入されてから2006年にシ団発行引き受けが廃止されたことも加えて、現在においては代表的な国債の消化形態となっています。これによって、以前は機関だけで引き受けていた国債が、証券会社を通じて個人でも売買することが可能となりました。銀行の窓口にある5万円や10万円で買える国債などがその代表例と言えます。
このような個人向け国債を発行する背景には、国家財政の悪化によって国債の発行額が増えていることがあります。数年前には10年物国債の入札で、事実上の未達という事態もあったということで、国としてはとにかく買い手を増やしたいので買いやすくしているのです。
要するに最初は一部の金融機関のみがシ団を作り国債を買っていたのが、財政悪化に伴いシ団だけは処理できず、とにかく買い手を増やしたいという経緯で公募入札や個人向け国債が出てきたということです
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