2017年4月11日に一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)が発表した、仮想通貨「Zen」プロジェクトが、7月に発行と社会実証実験開始しました。
Zenとは?
『Zen』とは、2017年4月1日より施行された改正資金決済法の中で定義された「仮想通貨」の項目をクリアしつつ、日本円に為替連動することを志向した社会実験プロジェクトです。
現在仮想通貨といえばビットコインの価格のことが話題の主となってしまいますが、本来の仮想通貨には導入することにより以下のメリットがあります。
①送金コストが安い、為替手数料がかからない
②海外送金でも時間がかからない
③365 日 24 時間いつでも決済ができる
仮想通貨Zenは政府または中央銀行が発行している現行紙幣を仮想通貨に置き換えることでよりマネーのやり取りを円滑にしようという試みです。
本プロジェクトのベースになるのはプライベート・ブロックチェーンで、「Zen」はその上で発行されることになります。
⇨【仮想通貨】パブリックチェーンとプライベートチェーンの違い
第1フェーズでは、プライベートネットワーク上で稼働するブロックチェーンおよび分散型台帳に限定することで、流通範囲を制限していますが、最終的にはパブリックブロックチェーンを含む複数種類のブロックチェーンおよび、分散型台帳のネットワークに適合するトークンとして発行されることを目指しています。
この社会実験はBCCC内で行う第1フェーズと、BCCC外で行う第2フェーズが予定されており、第1フェーズは4月~9月までの6ヶ月間が予定されているようです。
今回は実験の第1フェーズとして、仮想通貨取引所であるZaifにおいて同仮想通貨の発行が可能になりました。
仮想通貨取引業者登録の準備が整い次第、ほかの仮想通貨取引所も「Zen」の発行を行う予定だそうです。
2017年度仮想通貨「Zen」についてのレポート
http://bccc.global/wp-content/uploads/2017/12/Zen-Report-p1c09-final.pdf
Zenの仕組み
まず『Zen』発行を担うのはBCCC(事務局:インフォテリア)で、BCCCから発行業務を受託した取引所(Zaif)が、BCCCに対してビットコイン等の仮想通貨を預け入れることで、預け入れた仮想通貨の時価相当のZen(JPYZ)が発行されます。
このZaif取引所はテックビューロが運営しており、他の仮想通貨やフィアット通貨($や円)と「Zen」の交換や販売を担っています。
取引所のユーザーは、取引所が提供するサービスを通じてZenを保有したり、Zenで仮想通貨を取引したりすることもできる。
BCCCは発行時に、発行した数量分のZenを1JPYZ=1円で買い取る注文を出すため、Zenから円に換金することも可能です。
これによってZen⇨円が可能になるので、電子マネーや企業のポイントとは大きく異なる点です。
Zenは発行時にBCCCが受け取ったBTCの時価に相当するZenを発行し、BCCCが1Zen=1円で買い取ることを確約しているものの、Zen自体が必ずしも1円に固定されるわけではありません。
基本的に取引価格が1円より上がれば管理者であるBCCCが売り、1円より下がれば反対に買いを行うことで、価格を常に1円に調整することを目指しています。
なのでZenはビットコインやイーサリアムのようにプロジェクトの普及による需要の増加で値上がり益を狙う仮想通貨ではありません。
これが理想なのですが実際に市場で大規模な取引を開始場合、これが上手くできるか分からないので、現在は段階を踏んで社会実験を行っているのです。
Zenを発行する目的
これまで、世界中で様々な仮想通貨が作られ流通してきました。しかしながら、最大の流通量を誇るビットコインですら、各国の法定通貨(米ドルや日本円など)に対する為替の変動が激しく、多くの企業において、実ビジネスの決済に使用するにはリスクが高く、企業活動における仮想通貨の普及を妨げる要因となっていました。
そういった状況の中でZenは、対日本円為替レートが安定的に推移する仮想通貨を作り出すことができるかどうかにつき社会実験する日本初のプロジェクトです。
BCCCはZenの発行手取金を原資として、取扱取引所ごとに発行数と同数のZenを1Zen=1円で購入する注文を提示することで、実質的にZenと日本円の為替レートを安定化させる仕組みが機能するという仮説を検証する実験を行うのが目的です。
取引所はBCCCから発行業務を受託し、発行先である参加企業が行う所定の手続きに従った発行請求を経て、Zenと当該取引所が扱う法定通貨やほかの仮想通貨と取引を実行。
発行先企業は、提供する製品やサービスにZen建てでの価格を付して取引を実施し、将来的には日本円との為替が安定して運用されることで、実ビジネスでの使用に耐えうる仮想通貨とすることを目的としています。
Zenの仕組みは、法的環境が整えば、原理的には日本円のみならず他国通貨であっても、仮想通貨の取引市場が存在すれば採用可能な仕組みとして設計されており、この社会実験は、まだ社会的に価値が胡散臭いと思われているデジタルトークン発行証明の方式、およびトークン発行アダプターの仕様を、国際的なデファクトスタンダードとする可能性を探ることも目的の1つとしています。
これが実現すれば、円建てであっても現金(円)⇨仮想通貨ではなく、円と等価の仮想通貨(Zen)⇨仮想通貨(ビットコインなど)というプロセスが可能となるため、よりビジネスにおける資金移動が効率よく行えることになるのです。
また、紙幣である円をこれまで二重支払いなどのセキュリティー上のリスクが高かった電子マネーとは違い、セキュリティーの高いブロックチェーンシステムから作る仮想通貨に移行することができ、これが成功すれば今以上にあらゆるものが電子化されるIT社会に向かってより加速していくことになります。
政府によるデジタルマネー発行の歴史についてはアフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者という本に詳しく書かれています。
⇨【仮想通貨】ビットコインのブロックチェーン技術は何がスゴいの?
⇨【仮想通貨】ブロックチェーンが作るトークンエコノミーの社会
アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者に書かれていることを簡単に抜粋すると、もし今後政府がZENのような円ペッグ(円とほぼ同じ価値を持つ)のデジタル通貨を発行し、それが銀行券に代わって普及するようになれば、中央銀行は、そのデジタル紙幣にプラスでもマイナスでも、 自由に金利を付けることができるようになります。
私たちが習ったこれまでの金融政策は、政府銀行が市中銀行の現金と国債金利調整することで間接的に私たち世間の景気に対して狙った影響を働きかけるといったものでしたが、皆がデジタル通貨を保有・使用するようになればデジタル通貨の通じて直接的に金利で働きかけることができるようになれば、よりダイレクトに経済政策の効果を発揮しやすくなることが期待できます。
そして、このZenは現在テックビューロが運営する仮想通貨取引所であるZaif(ザイフ)で試験的に上場され実証実験が行われています。
ちなみにZenの通貨シンボルは「JPYZ」となっています。Zenは現在Zaif(ザイフ)にしか上場していませんが将来的には現在採用しているイーサリアムネットワークから他のブロックチェーン上でのやり取りできるようにすることを目指しています。
→【仮想通貨】イーサリアム(Ethereum)とは?将来性・チャート・購入方法のまとめ
引用元:http://bccc.global/wp-content/uploads/2017/12/Zen-Report-p1c09-final.pdf
Zenの価格推移
ZenはZaif(ザイフ)に上場した後一時的に1JPYZ=10000万円になりましたが、現在はレートも安定し、パブリックチェーン上のデジタルトークンとして再発行された際にも、同様に 1.0 円に近い価格を維持することが期待できます。
Zenの関連企業
今のところ『Zen』のプロジェクトに関わっている主な企業は、『インフォテリア』『カレンシーポート』『テックビューロ』「OKWAVE」「桜インターネット」の5社です。
特にインフォテリアは株式を上場しており、個人的に中期計画の内容など今後の成長にとても期待しています。
株はしてるけど仮想通貨はまだちょっと怖いという方はインフォテリアの株式を買うというのもありかもしれません。
⇨インフォテリアの今後の将来性・株価予想・中期経営計画の分析
テックビューロに関しては上場していませんが、『NEM(ネム)』という仮想通貨に連動したプロジェクトを主軸としているので、この『NEM(ネム)』が今私たちが購入できるもので株式に一番近いです。
⇨【仮想通貨】NEM(XEM)とは? 購入方法と今後の将来性について
⇨【株式投資】テックビューロ関連銘柄【ブロックチェーン・mijin】
日本円に対し為替が安定した仮想通貨を志向したデジタルトークン「Zen」の社会実験、第1フェーズが本日で終了。「Zen」の発行総額は約8億5千万円相当となりました。第1フェーズのレポートは2017年12月末までに公開し、さらに第2フェーズに繋げる計画です。 #Zen #BCCChttps://t.co/OaeVn0JmRb
— Pina Hirano (平野洋一郎) (@pinahirano) 2017年11月30日
コメント