仮想通貨決済を可能にするmoneybutton
先日SNSで見かけたマネーボタン(moneybutton)というWEBサービスが非常に便利だったので紹介しておきたいと思います。
このWEBサービスを使うと、自分のブログの記事内に投げ銭用のボタンが設置出来たりすることができ、WEB上での仮想通貨による少額決済をサポートしてくれます。
マネーボタン(moneybutton)の使い方
moneybuttonを使うには、はまずyoursというサイトに登録し、WEB上での投げ銭に使う自分のウォレットアドレスを作成し、入金します。
名前・メアド・パスワードを入力すれば、登録は完了です。登録を完了するとウォレットに仮想通貨を入金するように求められます。
表示されたウォレットアドレスに仮想通貨を送金すれば、WEB上に設置されているmoneybottonの投げ銭用TIPに投げ銭ができるようになります。↓みたいなやつです。一応ビットコインキャッシュ(BCH)だけではなく6種類の仮想通貨を支払い手段として選択できます。
これによってFacebookやTwitterのような共有ボタンを設置するのと同じくらい容易にブログ記事などにマイクロペイメント用のボタンを設置することができます。
この投げ銭用のボタンは、https://www.moneybutton.com/でコードを自動作成→ブログ記事内のHTML編集で、作成したコードをコピー&貼り付けだけで完了します。
これはまだプロトタイプなので、支払いボタンをブログに張れるだけですが、2018年7月に公開予定の製品版では、仮想通貨を支払えばページが見れるようになる有料ページ・有料コメント機能などが実装予定で、これらをWordpressプラグインとして利用できるようにすること予定だそうです。
WEB決済の歴史とビットコイン
マイクロペイメントは構想自体はインターネットが普及し始めた1990年代から話されてきましたが、技術的な問題からそれを実現できた企業やプロジェクトはありませんでした。
その理由は、WEB上で取引情報を安全にやり取りするためのセキュリティコストが高いためです。これまでWEB決済には高額なセキュリティーコストが掛かるためウェブ上で決済ができるクレジットカードも、ユーザー側からすれば分かりませんが実は小売店側はその分カード会社に高い手数料を支払っています。
つまり現在のインターネット上ではクレジットカードによる決済ができますが、クレジットカードによる取引には高額なセキュリティコストが含まれているため高くクレジットカードによる決済では十分に手数料を抑えて小額の支払いをすることはできません。
そんなときにできたのがブロックチェーン技術とビットコインです。ビットコインは価値を保証するのが、特定の政府や企業ではないという非中央政権という性質を持つとともにブロックチェーン技術を用いた取引承認方法を用いることで、WEB上でのマイクロペイメントを可能にしたのです。
ビットコインは価格の面しか語られないことが多いですが、ビットコインが1BTCあたり0.1円から始まり、今では数十万もの価値が付いたのはこういった理由からです。ブロックチェーンが注目される理由はWEB上の情報の安全なやり取りを今までより「安く・早く・便利」できるという点にあります。
ブロックチェーンによる取引は51%攻撃が起こらない限り不可逆的なので、支払いに渡した金を商品を受けとってから自分の財布に戻すという、2重支払いのような詐欺行為はできません。なので小売店は、受け取った支払いを元に戻すことはできないという自信を持つことができます。これのよってビットコインを始めとする仮想通貨はセキュリティのコストを大幅に下げ、取引手数料を1セント未満に抑えることができたのです。
自分もこれに感銘をうけて2016年にビットコインを購入し、XCPというビットコイン上で作った仮想通貨を使うことで、このブログ上で少額決済ビジネスを始めようと思っていたのですが、XCPはビットコインのブロックチェーンを使っていたことから、2017年末にビットコインの取引手数料が1取引あたり5000円近くにまで上昇してしまった影響をもろに受けて、このような少額決済は不可能になりました。
この2017年のビットコインの取引手数料の高騰からビットコインはまだWEB上でのマイクロペイメントにふさわしくないという思う人もいると思います。ですが、それは間違いです。というのも本来ビットコインはもっと高性能なものでした。
というのもビットコインの送金が詰まりやすくなったのは、ビットコインの取引を格納するブロックサイズが、開発を手動しているブロックストリーム社がライトニングネットワーク(LN)を使わせたいがために1MBという極小サイズに抑え、敢えて送金詰まりが起こりやすくなるように、不便な仕様に替えられたからに他なりません。
そして、現在ビットコイン開発チームが作っているライトニングネットワークに関してもブロックチェーンを使わないオフチェーンでの取引を採用しているなど、もはやビットコインの開発方針のもとになっているナカモトサトシの論文からは大きく逸脱した方向に向かっています。
ライトニングネットワークが良いものか悪いものかはさておき、ビットコインはナカモトサトシの論文がホワイトペーパーなのであり、それと全く違うシステムを作るのであれば、ビットコインというブランドを使うべきではないでしょう。
そして、このように本来の姿を失ってしまったビットコインに失望したグループが、2017年にビットコインを分裂させて誕生した仮想通貨がビットコインキャッシュ(BCH)です。BCHの開発を主導するnchainはナカモトサトシの論文をもとにプロジェクトを進めています。
・書籍「デジタル・ゴールド」を読む
・初期のビットコインに関わる人達の莫大な熱量と切実な期待とを知る
・その書籍のトピックは2014年3月よりも昔の話
・あの熱量はその後どこに行ったのか?
・少しずつ調べる・・・・・・・・・・
・BCHのあちこちに見つかりました!— cafenics (@cafenics) 2018年6月1日
デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語はビットコインについてちゃんと理解したい人には本当にオススメです。なぜビットコインキャッシュがビットコインと言われているかが分かるかと思います。
そして、ビットコインキャッシュ(BCH)は予定通り18年5月にブロックサイズを32MBまで引き上げたり、スマートコントラクトを実装したことで、2009年にビットコインに感銘を受けた人たちが行おうとしていた本来のビットコインプロジェクトの姿を再び取り戻させつつあります。WEB上でのマイクロペイメントを手助けするこのマネーボタンもその一つだと言えます。
他にもビットコインキャッシュ(BCH)にはICOを支援するトークン発行機能やスマートコントラクトなどイーサリアムを彷彿とさせる機能が備わっています。今やスマートコントラクトやトークン発行機能はイーサリアムが代名詞となり、世間ではイーサリアム一色になっていますが、実はイーサリアムは最初にこれを発明したのではなく、これらの機能は本来ビットコインに備わっていた・備わるはずだった機能なのです。そして、ビットコインキャッシュ(BCH)のこれらの機能はイーサリアムよりも高性能です。
実はイーサリアムのERC20トークンはスケーラビリティ問題に対する明確な解決策が見いだせていなかったり、機能自体がBCHやWAVESなどの他のトークンプラットフォームよりも劣っている(某氏よると子供騙しの玩具)など実は評判はよろしくありません。
なので、この先ICOトークン発行などにおけるイーサリアムのシェアはひっくり変える可能性がありますし、イーサリアムを購入している方はその辺りをリスクとして認識すべきだと思います。決して勝ち確定のプロジェクトではありません。
終わり
現在のマネーボタンはプロトタイプで、いくつかの企業とテストを行っています。また、デザイン・ファームと協力して、よりユーザーフレンドリーなデザインとアプリケーションの動作を提供することを目標に、UI / UXを改良しています。
WEB上でマイクロペイメントを当たり前にするためにはサイト運営者とエンドユーザーの両方に簡単に使用できるようにする必要があります。
今の段階でマネーボタンはまだプロトタイプですし、製品版がでてどうなるかはまだ分かりませんが有望なプロジェクトだと思います。今後マネーボタンがWordpressのプラグインに登場し、ワードプレスによって作られたブログが標準でこのボタンを実装するようになればマイクロペイメントはより身近なものなるでしょう。
強いて言うなら、ユーザー側が簡単に使えるように仮想通貨のウォレットアドレスをフェイスブックやchromeのGoogleアカウントとデフォルトで紐づけしてくれればなあと思うのですが、その辺はGoogleと既に提携しているリップルとかの方は早そうな気もします。
また、WEB上での少額決済が当たり前になり、ブログ運営者がマイクロペイメントによって執筆した記事から収入を得ることができるようになれば、現在のストレスフルなアドセンス広告ペタペタビジネスのネット広告業界も変わってきますし、この少額決済を実現させる可能性をもたらしてくれたビットコインを始めとする仮想通貨はまさにすごい技術だと思います。
他にもマネーボタンは単なるブログのためのものではなく、ソーシャルネットワークやゲームなどあらゆる種類のアプリで使用でき、1〜100万ドルの任意のサイズの支払いに使用することを想定しています。
仮想通貨は価格の面ばかり語られることが多いですが、こんな感じで、マイクロペイメントの他にも、国際送金のリップルのように社会システムを大きく変革することができうるものです。
そういった面に目を向ければ、人生も期待で楽しくなりますし、インフルエンサーが煽るゴミみたいな草コインで大金を溶かす、みたいなことも無くなると思います。そして古参が仮想通貨が暴落しても平気なのは仮想通貨のこのような点に魅了されているからだと思います。
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