前回はリップル(XRP)の特徴と購入方法について解説しましたが、今回はXRPも技術的な特徴について解説していきたいと思います。
XRP Ledger(XRPレジャー)とは?
XRP Ledger(昔はRCLと呼ばれていました)とは、その名の通りリップル社が発行している仮想通貨XRPで価値をやり取りするネットワークの事を指します。
→【仮想通貨】リップル(XRP)の今後の将来性・チャート・取引所のまとめ
ここがリップルのビジネスを理解する上でややこしい点なのですが、後述するILP(インターレジャープロトコル)とこのXRP Ledgerは今のところ完全に別のネットワークです。
それではXRP Ledgerの特徴について紹介していきます。
分散型台帳で管理する「IOU」
XRP Ledgerは、送金を行うユーザーとユーザー資産を保有・管理する「ゲートウェイ」によって構成されています。
引用元:https://twitter.com/TO30447473/status/912097014925606913/@BK_Black_white
→Ripple社のプロダクト(ripplenet・xCurrent・xRapid・xVia)のまとめ
ゲートウェイはユーザーから資産を預かり、IOU(I owe you=借りている)と呼ばれるデジタル借用証書を発行します。
IOUは預けた資産を受け取ることができる借用証書であり、銀行でいう預金証明書みたいなもので資産の所有権を示していると捉えることができます。
そしてユーザーは、このIOUをリップルネットワーク上で取引することで資産の所有権を移転します。
たとえばAさんがゲートウェイで100万円と引き換えに受け取ったIOUをBさんが購入した場合、BさんはそのIOUと引き換えにどのゲートウェイでも100万円を受け取ることができるのです。このようにリップルネットワークにおけるゲートウェイは銀行に近い役割を担っています。
プルーフオブコネクト(Proof of Conects)
ビットコインなどで採用されているコンセンサス方式(取引に不正がないか確認する検証方法)はプルーフオブワーク(Proof of Work/PoW)と呼ばれ、ノードと呼ばれる世界中のコンピュータが膨大な計算を行うマイニング作業を通じて記録者を選び、その承認を行っています。(その報酬としてマイニング報酬が貰えるわけです)
→ビットコインの採掘(マイニング)とハッシュレートの分かりやすい説明
対してリップルネットワークにおけるIOU取引の記録作業は、ビットコインのような不特定多数ではなく、リップル社が認めた限られた数のノードによって行われています。
ちなみにこのリップル社によって認められたノードを「Validator(バリデータ)」と言い、この仕組みをプルーフオブコネクト(Proof of Conects/PoC)と呼びます。
これによって少人数かつ信頼性の高いノードに限って記録・承認を担うことで、プルーフオブワークに必要なマイニング作業での電力消費を抑え、取引承認にかかる時間を数秒以内にまで短縮できます。
加えてビットコインが懸念されている51%アタックなどが起きる心配もありませんし、バリデータは有名な大企業や機関で構成されており、非常に安心感があります。(日本だとセコムなどがバリデータになっています。)
その一方でバリデータによるPoCは承認作業を行う者がクローズな状態になってしまうため、中央集権性的な性質を持つためビットコインの非中央政権を支持する人からはリップルが敵視される原因にもなっています。
ですが、個人的には不特定多数の何処ぞの馬の骨よりも実績と信頼のある大企業が取引を認証してくれるほうが安心できます。
ILPとは何なのか?
リップルについて勉強すると出てくる単語にILPというものがあります。このILPとは何なのでしょうか?
ILP(インターレジャープロトコル)とはリップル社の持つ通信プロトコルです。厳密に言うと仮想通貨であるXRPとはまた違います。
ILP自体はデジタルマネーではなく、あくまでHTTPのような通信する約束事のようなもので、このILPの特徴としては従来のSwiftよりもはるかに低コストで送金が行えるようになるというものがあります。
引用元:https://twitter.com/TO30447473/status/912097014925606913/@BK_Black_white
→Ripple社のビジョンとInter Ledger Protocol(ILP)の関係について
もともとリップル(Ripple)社はXRP自体を銀行などの金融機関が使用してくれるように働きかけていましたが、XRP自体の価値が時価総額3兆円程度と到底送金額を賄えるほど成長していなかったこととボラティリティが大きいこと、Swiftに取って代わるほどXRPという仮想通貨の信用がまだ足りなかったから中々銀行での採用が決まりませんでした。
そのためリップル(Ripple)社はまずSwiftよりも送金コストを低く抑えることのできる単なる通信プロトコルであるILPの採用を目指すほうへ方針転換したと思われます。
もともとILPとXRPは2つで1つのものなのですが、おそらく銀行への採用に向けていったん分離した感じです。
RippleがInterledger Protocolに戦略転換したわけ【日本語訳】
XRPによるブリッジ通貨実現にはなぜ、ILPへの方針転換が必要だったか?その経緯が述べられています。マニアックだが地味に重要な内容かと思います。https://t.co/PvluB1dOzz pic.twitter.com/LaCJJNsrEN
— てにったー (@tenitoshi) 2017年7月16日
そして、ILPの採用が本格的に銀行で始まったため、いずれILP上で最も送金コストを抑えることのできるXRPが使われていくこと(ILPとXRPを再び一つにする)と思われます。
→【 リップル】仮想通貨 XRP をブリッジ通貨とした国際送金がついにスタート!
→仮想通貨リップル(XRP)を使った国内銀行間送金が2018年に始まる可能性
リップル社の目指すもの
従来の銀行を通じた国際送金では、送金に数日かかることや、送金手数料が高いことが問題視されてきました。これに対しリップル社は、国際送金を即座にかつ低い手数料で行うことを目標としています。
たとえば、日本で発行したIOUをリップルネットワークを介して取引し、そのIOUをすぐにアメリカで交換することができるのです。
リップル社はこのネットワークを他の経済圏と経済圏を結びつける橋渡しにしようとしています。
これに使われるのがXRPであり、XRPは世界中のあらゆる貨幣や仮想通貨のやりとりを円滑に行うための仲介資産(ブリッジ通貨)となることが最終目標であり、XRPが値上がりすると期待されている理由もここにあります。
これが実現すれば、XRPはあらゆる送金を網羅することになり、XRPによる一日の送金額は数千兆円にも上る可能性があり、これを引き受けられるだけの時価総額にXRPがなるとすれば、その価格は1XRPあたり数万円になっても決しておかしな話ではないのです。
そしてこれにより今私たちが手軽インターネットにアクセスできるように誰でも少額送金を手軽に行えるになる「IoV(Internet of Value):価値のインターネット」がリップル社の目指すものです。
リップルの普及と今後の将来性
個人間で容易に送金決済を可能にしうるビットコインの普及は、銀行にとって自分のビジネス分野を奪うものです。
銀行側もこのまま座して死を待つのみではなく、送金手数料の低コスト化に向けて既に動き出しています。
そんな中銀行にブロックチェーンをつかった低コスト決済手段を提案したのがリップル社です。
銀行側にとってもリップルを導入し、国際送金の利便性を高めることは大きな利点となります。そして実際にリップルのRipple Networkは拡大しづけています。
加えてXRP自体の取引数も仮想通貨の中で約4割を占めており、世間はビットコイン一色ですが、一番使われているのは実はリップル(XRP)なのです。
Not much else to say really. https://t.co/ZvtdQxYgpV
— Miguel Vias (@miguelvias) 2017年11月23日
リップルは、この枠組みを有効に活用する形で既存の金融機関と併存した形で国際送金の利便性を高めようとしています。
こういった点でリップル(XRP)は、他の仮想通貨よりも送金やブリッジ通貨として大きくアドバンテージや政治力があると言え、将来的にはXRPとILP(もしくはこれが融合したもの)が国際送金ネットワークの根幹を担っていく可能性が高いと言えます。
→リップル(XRP)を購入するのにオススメな仮想通貨取引ランキング
追記
こちらの アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者という本は送金面で仮想通貨を取り上げている本で従来のSwiftによる国際送金の不便さについて書かれているのでオススメです。この本を読めばリップルが次世代の国際送金におけるスタンダードになる可能性が高いとして注目されている理由がわかるかと思います。
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