先日MUFGが世界中の銀行が仮想通貨を発行する仮想通貨プロジェクトであるUSCに参加したというニュースが日経新聞にも発表されました。
三菱東京UFJ銀行は銀行同士のお金のやり取りに特化した電子通貨の開発に乗り出す。スイス金融大手のUBSが主導する米欧の銀行連合に参加。中央銀行への預金を裏付けに独自の電子通貨を発行し、銀行間のあらゆる資金決済に使えるようにする構想だ。お金のやり取りの「裏側」を効率化する。
三菱UFJ銀は銀行間決済の効率化をめざす
電子通貨のプロジェクトはUBSが2015年に立ち上げ、ドイツ銀行やスペインのサンタンデール、米バンク・オブ・ニューヨーク・メロンなどが加わっている。これまで米ドルとユーロを対象に実証実験をしてきたが、対象を日本円とカナダドルに広げるのを機に、日本からは三菱UFJ銀が参画する。
目指しているのはUSC(Utility Settlement Coin)と呼ぶ独自の電子通貨の発行だ。
ビットコインなど仮想通貨の中核技術であるブロックチェーンを活用。使い道を銀行同士の資金のやり取りに限定し、各銀行が中銀に持つ預金を裏付けに発行するのが特徴だ。銀行は、このUSCをやり取りするだけで決済できるようになる。
個人や企業が送金したり振り込んだりする場合、裏側では銀行同士が各取引に伴う資金のやり取りをしている。
国内であれば、こうしたやり取りの最終的な帳尻は日銀に持つ各行の預金の移し替えであわせている。
日銀が運営する日銀ネットを使った決済は1日あたり6万9千件、金額は136兆円に達する。
海外の銀行同士では同じ中銀に口座を持っていない場合もあるため、わざわざ決済のための銀行に口座(ノストロ口座)を開き、ドルなどを積んでおく必要がある。
電子通貨のやり取りで済むようになれば、こうした負担は不要なほか、即時に決済が完了する。18年中に限定的なサービスの利用を始めて、20年前後に本格的な運用開始を目指している。
三菱UFJ銀は米ベンチャーのリップルが持つ技術を活用した新しい海外送金を18年初から始める方針だ。
リップルで顧客間の海外送金を効率化したうえで、その裏側にあたる銀行間の決済についても電子通貨で円滑にすることを狙う。
ソース:銀行間決済を電子通貨で 三菱UFJ銀、米欧連合と開発へ :日本経済新聞
この記事の内容を分かりやすくすると、
①スイスの金融大手『UBS』が主導する北欧の銀行連合にUFJ銀行も参加する。
②この銀行連合はUSCという新たな仮想通貨の発行を目指している。
③USCがあれば、今までの銀行間決済が大幅に効率化する。
④2018年中には限定的にサービス利用開始をして、2020年前後に本格的に運用開始を目指している。
⑤UFJ銀行はリップルが持っている技術を生かして2018年初め頃に新しい形の海外送金を始める方針。
⑥リップルの技術を生かすけど、それに使う仮想通貨はXRPではなくUSCにしようとしている。
銀行間で仮想通貨を作って国際送金などの決済を行っていく・・・あれ?これリップルヤバくね?ってこのニュースを見て思った人も多いと思います。
UFJとリップルの関係

UFJ銀行は2017年に入って、本格的に仮想通貨関連に参加するということを発表しており、その手始めとしてまずMUFGコインというUFJ銀行独自の仮想通貨を作成する予定を打ち出しています。
ちなみにこのMUFGコインは、1円=1MUFGというレート比率は固定された仮想通貨(ペッグ通貨)でビットコインやイーサリアム、リップルのような価格差益を狙う仮想通貨ではありません。
こういったペッグ通貨とリップルのような仮想通貨は全く別物なのでペッグ通貨をハッコするからリップルが使われないということはありません。むしろ逆です。
UFJ銀行は、このMUFGコインを使った便利なサービスを打ち出していくことで、自身の顧客を増やし、銀行に入る手数料収入などの収益の増加を図っていくのが目的のようです。
こういった自身で独自の仮想通貨を使って利用者の囲い込みを行っていく流れをトークンエコノミーといい、この流れは銀行だけではなく一般企業にも広がっていくことになると思います。
その先駆けとして阿倍野ハルカスも仮想通貨を使ったサービスの実証実験を行っています。⇨「近鉄ハルカスコイン」社会実験 | KIPSカード
→【仮想通貨】ブロックチェーンが作るトークンエコノミーの社会
そして、2017年4月ごろ、三菱東京UFJ銀行を含めた他6つの銀行が、リップルネットワークを使った国際送金を行うことを発表しました。実施は2018年を予定しているとのことです。
このニュースを受けて、リップルの価格は高騰しました。リップル側も正式にUFJ銀行の参加を歓迎する声明を発表し、世界的にもUFJ銀行の動向が注目されました。
XRPとILP
ですが、ここでいうリップルネットワークとは、正確にはXRPのことではありません。というのもリップルの送金技術はInter Ledger Protocol(ILP)であり、XRPはILPの中で使ったらもっと送金が便利になるよって感じのおまけ要素のなのです。
とはいってもリップル(XRP)の最終目標は単なる送金の為の仮想通貨ではなく、ドルや円といった現行貨幣からビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨まであらゆる貨幣のブリッジ通貨です。
XRPの目指すブリッジ通貨とは?
このブリッジ通貨という概念は、言語で考えるとすんなり納得できると思います。例えば私(日本人)とエストニア人が会話したいとします。相手がアメリカ人や韓国人・中国人ならば通訳してくれる人もいっぱいいますが、エストニア語を分かる人は恐らく日本にはそんなにいません。
そんなときに私とエストニア人の方がどう意思疎通を図るのかというと、英語です。走るは分からなくても「run」なら分かります。XRPはこの英語のポジションを目指しているのです。
マイナー言語(通貨)でもどっちもがわかる(使える)共通の言語(貨幣)があれば簡単にコミュニケーション(送金決済)が行なえるようになるのです。
XRPは貨幣世界でいう公用語になろうとしているのであり、銀行間の送金に使えるUSCという仮想通貨が出てきたからオワコンというような代物ではありません。
リップル社とXRPの目指すものは単なる銀行の国際送金ビジネスではなく、世界中の送金において橋渡し(ブリッジ)をすることなのです。
もしこのビジョンが少しでも現実のものになれば、XRPの時価総額は今の20~30兆では済まないでしょう。
目安として今国際送金ビジネスで覇権を握っているSWIFTでの一日の取り扱い送金額は最大で800兆円です。
銀行間の国際送金が800兆円ですが、リップル社とXRPは銀行間の国際送金だけではなくあらゆる分野での送金を覇権取ることを目的としています。
そうなればXRPの時価総額はドル円の2000兆円に匹敵するかもしれませんし、もしかするとそれ以上になる可能性もあるのです。
まとめ
USCは確かにすごいプロジェクトですが、USCはあくまで1貨幣にすぎず他の通貨とのブリッジ機能を持っていません。
なので、XRPと目指すところが全く違うため今回のニュースはリップル(XRP)にとってマイナスとなるものではないのでリップラーの人は安心してください。
コメント