CAPM理論とは?
CAPM(Capital Asset Pricing Model)とは、1960年代半ばに提唱された、均衡市場においてある金融資産の期待したリターンにおけるリスクの算出モデルのことを指しており、ハイリスクハイリターンの均衡市場においては、リスクを負担した分に見合うリターンを得ることができるというものです。
これを簡単に説明すると、この銘柄に〇%のリスクを引き受ければ、〇%のリターンを得ることができるといった感じで、余分のリスクを引き受けたことよって得られる超過リターンを数値化した理論です。
計算式
CAPM理論の定義式は下のようになります。
E(r) = rf + β(rM-rf )
E(r): 任意の株式の期待リターン
rf: リスクフリー・レート
β: 任意の株式の※β値
rM-rf:マーケットリスク・プレミアム
※β値とはTOPIXなどのインデックス指数が1%変動した時に何%変動するかを表しています。例えば、TOPIXが1%変動した時に2%上昇する銘柄があった場合、その銘柄のβ値は2となります。また2%減少するときは-2と表されます。
簡単に言え換えると、このように表すことができます。
銘柄Aの期待収益率=無リスク資産の金利+ β値×(株式リスクプレミアムー無リスク資産の金利)
※無リスク資産の金利は長期国債の利回りで、株式リスクプレミアムとは、銘柄Aに投資することによって引き受けるリスクを指します。株式リスクプレミアムは3~7%が一般的なようです。
つまり、設定した株式リスクプレミアム>期待収益率となれば、その投資は割に合わないということになり、逆に株式リスクプレミアム<期待収益率となれば、投資する価値アリということになります。
CAPMに実用性はあるのか?
CAPM理論は現実的にはありえない設定(すべての投資家が個々の証券の期待リターン、リスク等について全く同じ予想を共有していたり、均衡市場・効率的市場であるという点など)の下に成立している理論でもあり、発表当時から意義については激しく議論が行われてきました。
まあ現実的かという点についてはやや否定的な意見が多いですが、ちょっとありえない仮定下ではあるにしても、我々の一般的常識と株式などの証券のリスクとリターンの関係を、一応ですが定式化した業績については個人的には高く評価されるべきだと思います。
CAPMには否定的な意見も多いですが、CAPMにとって代わる代替的な手法がまだ存在していないこともあり、DCF法などの企業の株式価値評価モデルにおける期待収益率の算出などで、広く利用されています。(ちなみに個人的にはCAPMはもう役に立たない時代遅れの理論だと思っています笑)
まあ現在ではモデルを仮定して当てはめるのではなく、莫大なデータからモデルを逆算する手法が主流になりつつあるので、この手のファイナンス理論は正直過去の遺物となりつつありますが、歴史の授業と同じようにこういう昔の理論の積み重ねが現代の金融理論の基礎となっているので、知っておくに越したことはありません。
一応CAPMを始めとしたファイナンス理論の歴史と詳しい話は↓の ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質 に詳しく書かれているので金融工学分野に興味のある人には超オススメです。
この記事では、CAPMとは何ぞやという話と結果の公式しか説明していませんが、途中の計算とか理論についての詳しい説明はコチラでしてます。
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